奉祝委員会

奉祝委員会の活動

平成30年11月27日

天皇陛下御即位三十年奉祝委員会設立総会

天皇陛下御即位奉祝委員会 設立総会開催
天皇陛下御即位奉祝委員会 設立総会開催

 平成30年11月27日、都内ホテルに政府代表・各党代表らの来賓を始め、各界から就任した奉祝委員会の役員など、全国各地から約800名が参集して、天皇陛下御即位三十年奉祝委員会の設立総会が盛大に開催されました。

 総会は、代表世話人で日本青年会議所会頭の池田祥護氏の司会で進行、設立発起人で全国社会福祉協議会会長の斎藤十朗氏より開会の挨拶の後、ご来賓として、政府を代表して菅義偉内閣官房長官奉祝国会議員連盟会長の伊吹文明元衆議院議長のお二人から祝辞を頂戴しました。その後、久保田政一奉祝委員会運営委員長より役員案と四つの奉祝事業案が発表され、満場の拍手をもって承認されました。

 奉祝委員会会長に就任した三村明夫日本商工会議所会頭より会長式辞が述べられました後、ご来賓から橋本聖子自民党参院議員会長福山哲郎立憲民主党幹事長増子輝彦国民民主党幹事長代行魚住裕一郎公明党参院議員会長よりそれぞれ党を代表して祝辞が述べられました。

 各界からは、日本経済団体連合会の中西宏明会長日本労働組合総連合会の神津里季生会長お茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏日本オリンピック委員会の竹田恆和会長ジャーナリストの櫻井よしこ氏から心のこもった祝辞が述べられました。

 最後に、代表世話人の八角信芳・日本相撲協会理事長の先導により聖寿万歳が行われ、同じく代表世話人の田中恆清・神社本庁総長から閉会の辞が述べられて設立総会は盛会裡に終了しました。

開会の挨拶

斎藤 十朗 氏全国社会福祉協議会会長
斎藤 十朗 氏

 ご紹介を頂きました斎藤十朗でございます。本日は、天皇陛下御即位三十年奉祝委員会設立総会を開催いたしましたところ、皆様方には大変お忙しいところこうして大勢の皆様にご出席を頂きましたこと、まずもって心から感謝申し上げたいと思います。

 私は今ご紹介を頂きましたように福祉の関係の仕事をさせていただいております。天皇陛下におかせられましては、行幸啓の際にほとんど必ずと言っていいほど福祉施設、児童施設や障害児・者施設、高齢者施設そして、福祉関係者の活動にご視察を頂き、温かいお言葉を頂き、励ましを頂いてまいりました。大変私共一同感謝を申し上げているところであります。

 また、私はもうひとつ今、全国550万人の老人クラブ連合会の会長をいたしておりますが、来月の12月の4日・5日と、沖縄県で全国老人クラブ大会を開催いたします。その大会におきましても天皇陛下御即位三十年の奉祝大会とさせていただいて、皆さまにおはかりをいたしてまいりたいと思っております。

 全国民が等しく天皇陛下の三十年御即位に対してご奉祝を心からしてまいれるように、そして国民の大きなうねりとなってこの奉祝の行事が繰り広げられていきますことを祈念いたしまして、設立総会の開会の言葉とさせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

来賓ご祝辞

菅 義偉 氏内閣官房長官
菅 義偉 氏

 天皇陛下 御在位30年 奉祝委員会 設立総会の開催に当たり、政府を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。

 天皇陛下におかれましては、来年1月7日、御在位満30年をお迎えになります。

 御即位後、30年の長きにわたり、国民統合の象徴として、憲法に定める国事行為の重責を担われるとともに、皇后陛下と御一緒に全国各地の行事に臨まれ、全ての都道府県を2回以上お訪ねになりました。
 また、阪神淡路大震災、東日本大震災など、大規模な自然災害が発生するたびに被災地をご訪問になり、被災者をお見舞いになるなど、常に国民に寄り添い、歩んでこられました。
 さらには、諸外国との友好親善を通じて、世界の平和と繁栄、人々の幸せを願ってこられました。
 このような天皇陛下の御活動に対し、深い感動を覚えますとともに、敬愛の念を新たにするものであります。

 政府におきましては、天皇陛下の御在位30年を記念し、来年2月24日に記念式典を挙行するとともに、各府省において、数多くの慶祝行事を行うこととしております。現在、内閣を挙げて、その準備に取り組んでいるところです。

 また、昨年成立した皇室典範特例法に基づき、来年4月30日に天皇陛下が御退位され、翌5月1日に皇太子殿下が御即位されることとなります。天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が行われるのは、約200年ぶり、憲政史上初めてのことです。政府としましては、国民がこぞって寿(ことほ)ぐ中で、この重要な節目を迎えることができるよう、準備に万全を尽くしてまいります。

 このような中、天皇陛下の御在位30年をお祝い申し上げるため、各界の第一線で広く御活躍されている皆様方により、奉祝委員会が設立されたことは、大変意義深いものと考えております。

 今後、奉祝委員会が中心となり、天皇陛下御在位30年、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位を国民がこぞって寿ぐ機運が高まりますことを、心から願っております。

 終わりに、皆様の御尽力に感謝を申し上げ、私の挨拶といたします。

伊吹 文明 氏天皇陛下御即位三十年奉祝国会議員連盟会長(元衆議院議長)
伊吹 文明 氏

 皆さま、こんにちは。ご紹介頂きました伊吹でございます。本日は今、官房長官もあたふたと失礼をしたんですが、ご承知のように衆議院に法務大臣の不信任案が出ておりまして、おめでたい日に誠に恐縮でございますが、設立準備委員会の役員のご挨拶の前に、お許しを賜ってひと言ご報告とご挨拶を申し上げたいと存じます。

 昨日、衆参両院の国会議員のなかで、発起人の呼びかけに応じて頂いた先生方が集まり、奉祝国会議員連盟が発足いたしました。今日こちらにお見えになっております各党各会派の代表の皆さんはもちろんですが、それ以外にも、共産党、社民党を除くすべての会派のご賛同を得て、既に昨日の時点で490名を超える国会議員が奉祝の趣旨に賛同し参加しております。もう今では500人を超えているんではないかと存じます。これから我々一同力を合わせて、今日設立される皆さんの、民間の、各界の方々のお気持ちで立ち上がる委員会と力を合わせて、国会議員一同奉祝の実をあげたいと存じます。どうぞ宜しくご協力、ご厚誼をお願い申し上げます。

 さて、今上陛下は皆さんご承知の通り、新憲法下で初めてご即位になった天皇陛下でございます。そして新憲法下で教育を受けられました。先ほど官房長官が申しましたように、憲法に定める国事行為はもちろんのことですが、それ以外にも、憲法に定める日本国と日本国民の統合の象徴であるというお立場で、どう行動すべきかということを常に模索しておられたと存じます。

 昭和8年のご誕生でございますので、多分戦争が終わった時には小学校の6年生か中学校の1年生であらせられたと存じます。戦争の辛さというものをある程度子供心にご体験になっている。そして戦後の荒廃のあの中で、ひもじさ、辛さ、戦いに負けたものの悲惨な状況をつぶさにご体験になっておられます。その後私たちの先輩が、なにくそ、追いつき追い越すんだと思い、頑張って高度成長を成し遂げ、その結果として今日本は経済的に成熟して行き届いた国になりました。

 しかし、成熟して行き届いた国になったが故の今の色々な難しい問題、少子化、そして労働力不足、かつて自分が辛抱し頑張ったことを他人の労働力に依存して、お金で処理できるまでの国になっていること等だと思います。そういう現在までの日本の激動の歴史をご覧になってきた陛下は、常に国民に寄り添われ、辛い立場の人の立場に立たれて、同じ目線で、腰をかがめながら国民と接して頂き、国民の敬愛の的であられたと存じます。

 この30年間の今上陛下のご事績に感謝を申し上げねばなりません。そして日本国と日本国民統合の象徴であるというお立場は、今日ここにお集りの各界の皆さんに代表される、主権を持っている国民すべての総意で今のお立場におられます。したがって国民すべての総意を預かっている国会議員は、全員本来この奉祝の議連に参加をし、皆さんと力を合わせて奉祝の実をあげなければならないと私は思っています。これからも私達は綿密に連絡を取り合って、皆さまの驥尾に付しながら、奉祝の実を挙げて参りたいと思います。あと各党代表から各々その決意を述べると思いますが、どうぞひとつ協力をして、今上陛下の奉祝の実を挙げて参ろうではありませんか。皆さん、今日はありがとうございました。どうぞ宜しくお願い致します。

役員・事業計画の発表

久保田 政一 氏奉祝委員会運営委員長(日本経済団体連合会事務総長)
久保田 政一 氏

 この度は、天皇陛下におかれましては御即位30年をお迎えになられましたこと、心からお祝い申し上げます。

 この度の佳節を迎え、各界代表18名の設立発起人の皆様のお呼びかけにより、奉祝委員会の設立をお願いしましたところ、この1ヵ月余りの間に、既に1000名を超える各界代表の皆様方に役員にご就任いただきました。

 そして、本日の設立総会には全国より約800名の関係各位にご参集いただきました。皆様方にはこの場をお借り致しまして深く感謝申し上げます。ありがとうございます。

 それではただ今より、天皇陛下御即位三十年奉祝委員会の役員案及び事業計画案を発表いたします。

 まず、役員案を発表いたします。本日ご出席いただいている役員様のお名前をご紹介させていただきますので、ご紹介の際は、その場でご起立願います。

【役員名簿をご覧ください】

 以上の役員体制で臨んで参ります。
 何卒宜しくお願い申し上げます。

(会場から拍手あり)

 引き続き、事業計画案を発表いたします。
 私ども奉祝委員会は、昨日設立された奉祝国会議員連盟とともに、天皇陛下御即位30年奉祝事業と新天皇陛下御即位奉祝事業の二大事業を、向こう二ヵ年にかけて推進いたします。

 それでは、4つの事業計画案を発表申し上げます。

 1つ目は、御即位30年奉祝感謝の集いです。
 天皇陛下の30年間に亙るご事績をお祝いし感謝申し上げるため、天皇皇后両陛下御結婚満60年の記念日にあたる、来年4月10日に「奉祝感謝の集い」を開催します。会場は国立劇場で、役員の皆様方にはご案内させていただきます。

 2つ目は、新天皇陛下の御即位をお祝いする国民祭典です。
 皇太子殿下が来春5月、第126代天皇陛下に即位されます。秋には各国の国賓を招いて「即位礼正殿の儀」が盛大に催されます。その後、最も大切なお祀りとして大嘗祭が斎行されます。
 この時期に、新天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、皇居前広場をお借りして「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」を開催します。
 目下、日程は未定ですが、当日は5万人以上の規模の催しとなる予定です。

 3つ目は官民挙げての奉祝事業の推進です。
 既に各府省庁では、御即位三十年及び新天皇御即位をお祝いする記念事業の計画が進められていると存じます。この度の御慶事を官民挙げて奉祝申し上げるため、各府省庁、地方自治体、民間各種団体における奉祝事業の実施を要望して参ります。
 また各都道府県におかれても奉祝委員会を設立いただき、全国的な奉祝の機運を盛り上げていただきたくお願いを申し上げます。

 4つ目は、御代替りを奉祝する各種記念事業、広報活動の推進です。
 記念出版や記念映画等、天皇陛下の御即位三十年や新天皇陛下の御即位をお祝いする記念事業や広報活動を推進します。特に、今回の御代替りを通じて、皇室の伝統・文化が青少年に理解される広報事業を推進して参りたいと願っております。

 以上の奉祝事業を向こう2ヵ年かけて実施して参りますので、ご参会の役員の皆様には、特段のご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げ、役員案、事業計画案の発表とさせていただきます。
ありがとうございました。

(以上、役員案・事業計画案は拍手をもって承認されました)

会長式辞

三村 明夫 氏奉祝委員会会長(日本商工会議所会頭)
三村 明夫 氏

 天皇陛下におかせられましては、この度、御即位三十年をお迎えあそばされますこと、先ず以って心よりお祝い申し上げます。

 また、皇室典範特例法に基づき、来春には御位を譲られ、皇太子殿下が第百二十六代天皇にお即きになり、秋には、古式ゆかしく皇位継承儀式が厳粛に執り行われることとなりました。

 この御代替りの佳節を迎え、奉祝委員会の設立をお呼びかけしたところ、全国より各界代表の皆様方にご賛同いただき、本日を迎えました事を篤く御礼申し上げます。またこの度は、図らずも奉祝委員会会長にご推挙をいただき、意義深い奉祝運動に参画できますことは、誠に光栄の至りに存じます。

 ただ今、発表されました奉祝事業が、所期の目的の通り、恙無く達成されますよう、向う二ヵ年、微力ながらその重責を全うする所存でございます。どうぞ皆様方のご支援とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

 さて、平成の幕開けは、東西冷戦の終結に始まり、世界各地で紛争やテロなどが相次ぐと共に金融危機にも直面し、また国内にあっては、政治、経済、社会の各分野でのかつてない厳しい諸情勢に加え、大規模災害が数多く発生いたしました。

 この間、天皇陛下には、いかなるときも国民と苦楽を共にされた父君昭和天皇様の御心を受け継がれ、日本国及び日本国民統合の象徴として三十年間、お務めを果たされて参りました。

 平成二十八年八月、陛下は「象徴としてのお務めについてのお言葉」で次のようにお述べになりました。

 「私は、これまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えてきましたが、同時に事に当たっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えてきました。」

 陛下は、御即位直後より全ての都道府県を訪れたいとご希望され、毎年の全国植樹祭や国民体育大会等のご臨席に際し、その隣接する県をご視察先に加えられ、地域に生活する人々の様子を親しくご覧になってこられました。昨年秋の鹿児島県をもって、二巡目の四十七都道府県全ての行幸を果たされております。

 特に陛下は、阪神淡路大震災や東日本大震災を始めとする大規模災害の被災地に対しては、いち早くお見舞いになって被災民を励まされ、その後の復興を見守ってこられました。行政の力が及ばない、被災民の精神的な支援に大きな力を与えていただいてまいりました。

 また、先の大戦で尊い命を捧げた戦歿者や遺族に対しても深い御心を注がれ、終戦五十年には戦災規模が大きかった沖縄、長崎、広島、東京の各地を、終戦六十年にはサイパン島、終戦七十年にはパラオにと、海外まで慰霊の御旅をお続け下さいました。

 更には、お忙しいご公務の合間を縫って、世界各国との友好親善を進められてまいりました。公式な外国ご訪問は二十八ヶ国に及び、また、来日する数多くの国賓を接遇されてまいりました。世界に誇るべき皇室のご存在が、どれだけ日本の風格を高め、各国から寄せられる好意と尊敬に寄与されているか図り知れません。

 こうした天皇・皇后両陛下の全国各地への行幸啓は、すでに地球十五周半、約六十二万キロを数えます。国の内外への御旅を通じ、天皇陛下は、まさに「内平らかに外成る」「地平らかに天成る」との「平成」の元号に籠められた願いの実現に、御心を注がれてこられたのではないでしょうか。

 そして、来秋には皇太子殿下が、世界に比類ない第百二十六代天皇の御即位を内外に宣明される「即位礼正殿の儀」が古式ゆかしく執り行われます。世界各国から百数十ヵ国の元首が参列され、長い歴史と伝統を誇る日本の国柄を実感されることでしょう。

 私どもは、皇室を戴く日本に生まれた幸福をかみしめ、全国各地で奉祝の機運を大きく盛り上げて参りたいと念願しております。御代替りの奉祝事業を通じ、皇室と国民とを結ぶ敬愛と信頼の絆がなお一層強く揺ぎなきものとなり、国運が隆昌し、世界から尊敬される国となりますよう、祈念するものであります。

 むすびにあたり、天皇皇后両陛下の益々のご健勝と、皇室の弥栄を心からお祈り申し上げまして、式辞といたします。

来賓ご祝辞

橋本 聖子 氏自由民主党参議院議員会長
橋本 聖子 氏

 天皇陛下御即位三十年をお祝いする奉祝委員会の設立総会が本日、各界・各層の代表、ご来賓の方々が一堂に会し、このように盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。

 振り返ればこの30年、平成の時代はまさに激動の時代でした。バブル景気のピークの中で幕を開けた平成の世は、その後ほどなくバブル崩壊の後遺症に苦しみ、アベノミクスによる本格的な景気回復を迎えるまで、〝空白の時代〟と称される20年余を費やすことになりました。

 世界に目を転じても、安全保障、経済の両面におけるパワーバランスは大きく変容し、国際社会はまさに羅針盤のない、未知の航海へと漕ぎ出そうとしています。
 この間、阪神淡路大震災、東日本大震災など、まさに史上空前ともいうべき未曾有の大災害が相次いだことも、深い悲しみとともに国民の大きな記憶として残っています。

 このような激動する時代に在って、今上陛下は常に私たち、国民とともにあってくださいました。災害により被災し、途方に暮れる国民のもとに足を運ばれては、一人ひとり手を取られ、励まされました。

 天皇陛下のお姿に、国民はどのような厳しい環境、逆境にあっても頑張ろう、そう心に誓い、歯をくいしばって今日まで、この日本を国際社会の中でもひときわ輝く、素晴らしい国にしてこられたと確信しております。

 来年は陛下が御退位され、平成の時代に次ぐ、新しい時代を迎えます。しかし、私たちは、いつまでも平成の世を、優しく、思いやり溢れる今上陛下の記憶をとどめていきたいと思います。今上陛下の思いとともに、後世のすべての人々とともにさらに平和で、豊かな日本の国創りを進めて行かなければなりません。

 本日、「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」設立総会にあたり、自由民主党を代表してそのことをお誓い申し上げ、ごあいさつといたします。

福山 哲郎 氏立憲民主党幹事長
福山 哲郎 氏

 ただいまご紹介を賜りました、立憲民主党幹事長を仰せつかっております、福山哲郎でございます。

 本日は、天皇陛下御即位三十年奉祝委員会の設立総会が盛大に行われることに、心よりお祝い申し上げます。また、本総会に向け、ご尽力を賜った三村会長をはじめ、各界各層を代表される皆々様に感謝と敬意を表します。

 今上陛下におかれましては、日本国及び日本国民統合の象徴としてのあり方を問い続け、ひたすら国民とともに歩まれ、国家、国民の安寧と世界の平和をお祈りになり、心を砕いてこられました。

 陛下は、全国各地はもちろん世界各国をご訪問され、国民や世界の人々と接してこられました。先の大戦で尊い命を捧げた戦没者や遺族に対しましても深い御心を注がれ、47都道府県を訪問され、海外も含めて慰霊の旅をお続け下さいました。

 また、東日本大震災をはじめとする様々な大規模自然災害に際して、多くの国民が苦難に遭遇するなか、陛下はいち早くお見舞いに向かわれ、被災者に寄り添い、温かいお励ましをいただき、その後の復興を見守ってこられました。そのお姿とお言葉には、被災された方々だけではなく、多くの国民が深い感銘と勇気をいただきました。

 東日本大震災当時、官房副長官だった私も、どれほど勇気づけられたことか計り知れません。心から感謝を申し上げたいと思います。

 本日を機に、各界各層におきまして、天皇陛下御即位三十年を奉祝する機運が盛り上がり、その喜ばしい雰囲気が次の御代につながっていくことをご期待申し上げます。

 先ほど伊吹会長からもご挨拶がありましたが、私どもも御即位三十年をお祝いする国会議員連盟の一員として、陛下に心からの感謝を申し上げるとともに、皆様方と共に力を合わせて、盛大にお祝いができますよう最大限の努力を傾注して参ります。

 むすびに、天皇皇后両陛下のますますのご健勝と更なるご皇室のご繁栄をご祈念申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。

増子 輝彦 氏国民民主党幹事長代行
増子 輝彦 氏

 きょうの佳き日に「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」設立総会が開催されるにあたり、国民民主党を代表して謹んでお祝い申し上げます。

 憲法が「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と定めていることにふさわしく、衆参正副議長による立法府の総意となるとりまとめが行われ、これを受けて政府が提出した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が成立しています。

 来春、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が行われます。光格天皇から仁孝天皇への皇位の継承以来、およそ二百年ぶりのこととなります。
 御譲位による皇位継承は憲政史上初めてのことであり、日本の歴史にとって大変重要な出来事となります。

 天皇陛下が現行憲法にふさわしい象徴天皇の在り方として積極的に国民の声に耳を傾け、思いに寄り添うことが必要であると考えて行ってこられた行為は国民の幅広い共感を受けてきました。

 国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞い、海外の戦地御訪問をはじめとする象徴としての公的な御活動に御高齢に至るまで精励されている天皇陛下を国民は深く敬愛してまいりました。

 天皇陛下のお気持ちを理解し、共感してきた国民が平成の時代においても歴史や伝統に敬意を払いつつ、しっかりと平和を守り、社会を発展させてきたことには大きな意義があります。

 天皇陛下は、一昨年八月の「象徴としてのお務めについてのおことば」の中で「このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを切に願っています」と結ばれておられます。

 日本人は古来より、皇室とともに歩み、東西の文化を取り入れ、大いなる繁栄と独自の誇るべき伝統・文化を築き上げてきました。

 わたしたちは、天皇陛下のおことばを国民全体への問いかけとして重く受け止め、「未来への責任」を果たしていかなければなりません。

 皇太子殿下の英邁なる御資質と御誠実なる御人柄は、雅子様を妃殿下としてお迎えになり、国民の敬慕の的となってきました。御二方は常に国民の喜びを喜びとし、国民の悲しみを悲しみとされていた天皇陛下、皇后陛下の御君徳を受け継いでおられることと拝察いたします。

 本日ご参集された皆様方にも全面的なご協力を心からお願い申し上げ、本日の奉祝委員会の設立が天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が厳粛に執り行われ、国民がこぞってお祝い申し上げ、そして世界中の人々が祝福していただくことにつながるよう祈念いたします。

 国民民主党は、天皇と皇室を国民国家の象徴と仰ぎつつ、日本の良き歴史と伝統を尊重する国民政党として国民と皇室を結ぶ敬愛と信頼の絆が一層深まることに資する努力を惜しまないことをお約束します。天皇皇后両陛下のご健勝と皇室の弥栄をお祈り申し上げ、お祝いのご挨拶とさせていただきます。

魚住 裕一郎 氏公明党参議院議員会長
魚住 裕一郎 氏

 ただ今、ご紹介頂きました公明党参議院会長を仰せつかっております魚住裕一郎でございます。

 天皇陛下御即位三十年奉祝委員会の設立総会の開催に当たり、公明党を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。

 はじめに、天皇陛下が御在位三十年をお迎えになりますことを、心からお慶び申し上げます。

 天皇陛下は、御即位以来、常に国民の幸せを願われながら、お心を込めて、一つ一つのご公務をお務めになり、国民と苦楽を共にしてこられました。

 私共の幹事長、斉藤鉄夫の地元は広島です。今年7月に豪雨災害に見舞われ、甚大な被害が発生しました。そのわずか2カ月後、天皇皇后両陛下は、ヘリコプターなどを乗り継ぎ、お見舞いにいらして下さいました。被災した人々にとり、両陛下のお見舞いが、どれほどの励ましになったかと思うと、深い感謝の念を抱かずにはいられません。と斉藤は申しておりました。

 また、両陛下は、常に福祉にお心を寄せられ、関係者を激励してこられました。とりわけ、障害者スポーツの発展にお心を砕かれ、今日まで続く「全国障害者スポーツ大会」の礎を築かれるとともに、長くお心を寄せ続けていただいていることには、深い感銘を覚えております。

 天皇陛下御在位三十年に当たり、両陛下のこれまでのお歩みに心から感謝申し上げるとともに、これからもどうか末永くお健やかにお過ごしになられますよう、お祈り申し上げたいと思います。

 天皇陛下は、御在位三十年をお迎えになった後、皇室典範特例法に基づき、来年4月30日をもって御退位され、翌5月1日に皇太子殿下がご即位されます。
 この皇室典範特例法は、平成28年8月に陛下がお気持ちを表明された後、昨年、国会において、衆参正副議長の下、各政党・各会派が相携えて取り組むという、特別な経緯を経て成立したものであり、立法府の一員として、誠に感慨に堪えないものがございます。

 このように、国民の総意として実現することとなった、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位の日を、国民の祝福の中で、つつがなく迎えることができますよう、念願するものでございます。

 今後、奉祝委員会が中心となりまして、天皇陛下御在位三十年、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位に向けて、奉祝の機運を大きく盛り上げていかれることを心から期待申し上げまして、祝辞とさせて頂きます。皆様まことにご苦労さまでございます。

各界のご祝辞

中西 宏明 氏奉祝委員会名誉会長(日本経済団体連合会会長)
中西 宏明 氏

 経団連会長の中西でございます。
 本日、この場に各界代表が相集い、天皇陛下の御即位三十年奉祝委員会の設立を見ましたことは、崇高にして意義深いものであります。

 この度、奉祝委員会の設立にあたり、図らずも名誉会長にご推挙頂き、各界代表の皆様方と共に奉祝運動に参画できますことは、誠に光栄の至りです。全力を尽くし、この重責を全うする所存です。

 平成の30年間、内にあっては少子高齢化、外にあっては新興国経済の勃興により、日本経済は、まさに「雌伏」の時代に直面しました。このような中にあって、陛下は、「人々の傍らに立ち思いに寄り添う」ことを常に大切になされつつ、広く世界の平和と人々の安寧を祈ってこられました。

 厳しい時代にあって、国民の分断を招かず、世界に今なお、経済・外交面で、確かな存在を保つことができておりますのも、陛下のご事跡によるものと、経済界に身を置くものと致しまして深く感謝申し上げます。

 さて、日本経済は、いよいよ「雌伏の時」から脱却し、新たな成長のステージを迎えようとしています。人類社会は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会へと発展してまいりました。いま、デジタル革新をきっかけとして、社会が大きく変化しようとしております。まさに、第5段階の新たな社会、Society 5.0へと突入しつつあります。

 世の中では、雇用の喪失やデータの囲い込みによる格差の拡大、プライバシーのない監視社会の到来など、デジタル化による暗い未来を予想し、これを懸念する声も聞かれております。しかし、IoTやAI、ロボティクスの活用により人が単純作業から解放される時代だからこそ、人が人ならではの創造性を発揮し、技術を使って新しい未来社会を創造していくことが可能になると、前向きに考えております。

 Society 5.0では、デジタル革新を人々の多様な幸せ追求のために活用していきます。そこで、経済界は、デジタル化の波をしっかり受け止めて、「こういう明るい社会を創造していく」という、未来に向けたポジティブなコンセプトを日本から世界に発信しています。

 また、Society 5.0は、経済成長だけでなく、社会課題の解決や自然との共生を目指しています。Society 5.0の実現により、国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも貢献することができます。経済界は、目指すべき具体的な社会像を、「Society 5.0 for SDGs」の社会と位置づけ、日本の経済社会の変革を先導してまいります。

 今、求められているのは、日本経済の力強い再生と活力ある国づくりです。経済界を代表して、今上陛下の宸襟を安んじるよう、また、来年5月の皇太子殿下のご即位を言祝ぐよう、Society 5.0 を旗印として、新たな経済社会の構築に全力を挙げて邁進することをお誓い申し上げ、結びといたします。
 ご清聴、誠にありがとうございました。

神津 里季生 氏日本労働組合総連合会会長
神津 里季生 氏

 ご指名をいただきました日本労働組合総連合会、略称「連合」の神津でございます。
 まずもって本奉祝委員会総会がこのように開催され、設立の運びとなりましたこと、衷心よりお祝い申し上げる次第です。私も発起人の一人として微力ながら役割を果たして参りたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

 私の二代前の会長であった高木が御即位二十年の奉祝委員会でやはり同様の役柄を務めさせていただきました。顧みますとその後のわが国は、あの東日本大震災という、国難ともいうべき大惨事を経験しながら今日に至っているわけですが、このようななかにあってもお互いの助け合い・支え合いを糧にして、将来を展望していこうとしております。その過程において、天皇・皇后両陛下はまさに私たち国民の象徴として、被災地の方々に寄り添われ、災難に打ちひしがれていた多くの方々の心に光を灯していただきました。

 その後も相次ぐ水害や地震災害、異常気象とも言われるここ数年の状況のなかで、被災地への訪問を重ねられる天皇・皇后両陛下のお姿は、どれだけ多くの人々の心を和ませ、そして明日への活力を引き出していただいたことでしょうか。

 私は、天皇陛下が御即位後初めての外国ご訪問となりました平成三年秋、当時タイ王国におきまして縁あって大使館の書記官を務めておりました関係で、諸行事を通じて、陛下のお人柄を間近に感じさせていただく機会を得ました。

 その後陛下は三度にわたり当時の館員を宮中にお呼びいただき、その際にも一人ひとりにお言葉をかけていただきました。四年前の秋の園遊会におきましては、「日本労働組合総連合会」の名札に目を留められ、「最近はどうですか」とのお言葉に対し、思わず「なんとか賃上げが広がるように努力しております」とお答えしたものでした。一つひとつの場面を思い起こしつつ、尊崇の念をひたすら熱くするところでございます。

 齢を重ねられるなかにあっても平和への巡礼を重ねられるお姿、そして皇后陛下との仲睦まじさを自然な形で私たち国民にみせていただくそのお姿、申し述べたいことは山のようにありますが、それらの思いもこめさせていただきながら、両陛下のますますのご健勝をご祈念申し上げて、一言の祝辞とさせていただきます。

藤原 正彦 氏お茶の水女子大学名誉教授
藤原 正彦 氏

 奉祝委員会の委員として微力ながら尽くしたいと思っています。今日は歴史の話をしたいと思います。

 17世紀の後半、ニュートンや数学者のライプニッツなどと同じ頃、ケンペルという人がドイツで生まれました。彼は世界中歩き回って最後に日本に来るんです。

 1690年に長崎の出島に来てオランダ商館の医師として2年間ほど日本にいました。その時に江戸に二度ほどきて5代将軍の綱吉に謁見したりしています。彼には今村という天才的な通訳が付いていて、日本の文献を翻訳してもらったり、一緒に日本中を歩き回ったりして、日本について非常に詳しくなりました。

 そこで、彼はオランダに帰ってから『日本誌』という本を書きました。この本のおもしろいところは、日本の特徴について次のように指摘しているところです。〈日本には皇帝が2人いる。宗教上の皇帝と政治上の皇帝で、一方が天皇陛下で、一方が将軍である。権威と権力を完全に分離している。これは素晴らしいアイディアだ。世界はそうなっていない〉と。

 例えばその頃は、三十年戦争がドイツ(当時、神聖ローマ帝国)でありました。宗教戦争で物凄い殺し合いをしました。あるいは、ローマ法王と各国の王様が争ってきたのがヨーロッパの歴史でもありました。「日本はそこが完璧に分かれている、なんと素晴らしいんだ」とケンペルが言っています。日本の皇室は紀元前660年から始まって、万世一系、男系でつないできたと。

 この本は、1727年、彼が死んだあとに発行されたのですが、これがベストセラーになるんですね。文豪のゲーテ、哲学者のカント、あるいはフランスのボルテールやモンテスキューなど啓蒙学者等もみんな読んでいる。江戸時代後期に日本に来たシーボルトも、幕末に黒船に乗って日本を脅しに来たペリーもよく読んでいる。当時、日本に来た人の日本に関する知識はほとんどこのケンペルの本の知識といって過言ではありません。

 幕末から明治にかけて長いこと日本にいたアーネスト・サトウというイギリス公使館の外交官は『一外交官の明治維新』という本を書きました。その中で、サトウは〈宗教上の、あるいは精神上の皇帝と、それから権力上、政治上の皇帝が2人いるというケンペルの見方は確かに正しい。しかし日本人と日本国にとって、天皇という存在は単なる精神上、宗教上の皇帝ではない。確固不動の核である〉と言っているんです。「確固不動の核である」というところが重要です。

 日本で内乱が起きると、天皇陛下をつけた方が必ず勝つ。とにかく核を握った方が勝つ。これほどの確固たる基盤の上に立った君主というのは歴史上、世界中どこを見回してもいない。そういう点で日本は非常に特殊な国だ。こういうことを書いているわけです。

 要するに世界中こんな国はないと。

 これまで日本は厳しい危ない目に何度も遭ってきている。しかし、最後の土壇場では必ず、この確固不動の核というものが物を言って日本は生きながらえてきたということですね。これからも日本には色々厳しいことがあるでしょう。しかし、いざとなった場合は、この確固不動の核、これをがっちりと守っていくことによって日本はまた今後も長いこと生きながらえることができるのではないか。このような世界のどこにもない、確固不動の核を持った国に生まれたことを、とても幸せだと私は最近思っております。簡単ですが、お祝いの言葉に代えさせていただきます。

竹田 恆和 氏日本オリンピック委員会会長
竹田 恆和 氏

 ただいまご紹介いただきました、日本オリンピック委員会の竹田でございます。

 天皇陛下におかれましては、御即位三十年をお迎えになられましたことを、まずもって心からお喜びを申し上げます。このたびの天皇陛下御即位三十年奉祝委員会設立、まことにおめでとうございます。スポーツ界を代表いたしまして、お祝いを申し上げさせていただきます。

 平成の三十年といえば、社会の著しい変革とともに、世界では各種の紛争やテロ、そして、国内では大規模な自然災害が数多く発生しました。

 天皇陛下は御即位以来、この平成の御代三十年、常に変わられることなく、人々の傍らに立たれ、思いに寄り添われ、国民の幸せと、広く世界の平和を祈ってこられました。

 休まれることなく、各地へのご訪問や被災地へのお見舞いなど、天皇皇后両陛下の「お姿に、お言葉に、笑顔に」、我々国民はどれだけ励まされ、勇気をいただいてきたことか。改めて申し上げるまでもありません。

 スポーツ界にも同様に、常にお心配りをいただき、選手たちへの励ましのお言葉を賜ってきております。国民体育大会の開会式には毎年ご臨席を賜り、オリンピック競技大会においても、毎回大会後に日本代表選手団を御茶会にお招きいただき、一人ひとりに慰労の言葉をおかけいただいております。選手にとってはメダル以上に、どれだけ嬉しく思い出深いことか、次へのステップへの大きな励ましとなっております。

 次への目標として、いよいよ2020年、東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されます。本日で大会まで605日となりました。平成4年、1992年に開催された、スペイン・バルセロナでの第25回オリンピック競技大会の際に、天皇陛下は次のような大御歌を詠まれておられます。

 日の本の選手の活躍見まほしく
 朝のニュースの画面に見入る

 2020年東京大会におかれましては、ぜひとも各会場にて日本代表選手はもとより、参加各国の選手団の活躍をご覧いただければと思っております。

 私事になりますが、私は馬術競技の選手でありました。天皇陛下は学習院高等科時代に、馬術部主将をつとめられ、昭和26年の東京馬術大会障害飛越競技で、見事優勝されておられます。

 天皇皇后両陛下が、テニスがお好きであることは皆さまよくご存じの通りかと存じますが、悠然とした、見事な陛下の手綱さばきのお姿は素晴らしく、高度な技術をお持ちでいらっしゃいます。そして皇后陛下も同様に、乗馬がお好きでおられます。スポーツがお好きであられます天皇皇后両陛下におかれましては、引き続きスポーツに励む子供たちから日本代表選手に至るまで、励ましを賜ればと願っているところであります。

 スポーツ界といたしましても、御即位三十年を奉祝し、天皇陛下の報恩感謝の誠をささげてまいりたいと存じます。そして来る新天皇御即位につきましても、各界の方々とともに、盛大にお祝いを申し上げてまいりたいと存じます。

 最後になりますが、あらためて天皇陛下の三十年にわたるご活動に心から感謝を申し上げるとともに、ここに天皇皇后両陛下のますますのご健勝と皇室の弥栄をお祈り申し上げまして、祝辞とさせていただきます。本日はまことにおめでとうございます。

櫻井 よしこ 氏ジャーナリスト
櫻井 よしこ 氏

 本日はお招きを頂きましてありがとうございます。さきほど藤原正彦さんが本当に大切なことを仰いました。私も同じ思いです。200年ぶりの御代替りがもうすぐ行われます。一番大事なことは、この御代替りの好機に我が国の国柄、価値観、皇室を中心とした他の国に類例のない長い日本文明の歴史を私達自身が心に刻むことだと感じております。

 御代替りの機に、日本国とはいったいどのような国なのか、その成り立ち、そしてその中で培われてきた神道に基づいた価値観、心優しく穏やかな文明ながら、いざという時には雄々しく立ち上がる気質というものを、本当に大切なものとして私たち一人ひとりの国民の心に刻みたいものだと考えています。

 2700年になろうとする長い歴史、ひとつの文明が一筋ずっと続いている歴史を持っている国は世界の中でただ一つ、わが国です。そしてその中心が俗世の権力とは切り離されたところにいらっしゃる皇室です。皇室と他の国々の王室との違いは歴然としています。日本の皇室は、国家国民のために祈る存在です。祭祀王です。欧州諸国の王は力によって治める存在です。

 国民の幸福と国家の安寧のために祈ってくださることによって、皇室は国民の尊敬の的、憧れの的となりました。そしていつも穏やかな慈悲深い眼差しで国民を見てくださっている天皇陛下、皇室が中心となって成り立っているのが、この世界でたった一つの国、日本の姿なのだということを本当に深く感謝したいと思います。

 私たちの国は、この島の上に成り立ってきました。長い歴史の中で、山もあり谷もありました。けれどもどんな時にも危機が訪れれば皇室を中心に、私たちはまとまることができました。絶望の淵に投げ出されようとした時にも、皇室が表に立ってくださって、国民を鼓舞し、守り、前に進む勇気を持ちなさいと励ましてくださったと思います。

 それは、大東亜戦争に敗れて日本国の未来が危うくなった時に、昭和天皇が国民の前にお出になって励ましてくださったことを思い出せばよいと思います。3・11の東日本大震災の時に、今上陛下がお言葉を発せられて、私たち国民を勇気づけてくださったことも同じです。

 御代替りが近づくいま、私たちは日本の国柄を内外にきちんと印象づけることが大事だろうと思います。日本の国柄の特徴は前に触れましたように神道に基づく祈りを大切にすることであろうかと思います。皇室の祈りこそ、最も大切な基盤だと思います。

 他の国々が私たちの国を見て、日本は特別だと思う、その源泉が皇室にあります。民のために祈り、国のために祈るご存在としての皇室をこれからも大事にお守りしたいものです。立憲君主としてのお立場を私達国民の側からもお守りするのが重要かと思います。

 権力と権威がはっきりと分かれて相補完し合いながら穏やかな文明を築いてきた、この日本国の一員であることを心からの幸せと感じ、そして今、御代替りの時期にこの日本国に生を享けていることを大変ありがたいことと感じ、御代替りが最善の形で行われますように願うものです。今日は国民みんなでお祝いする御代替りの第一歩だと思います。

閉会の辞

田中 恆清神社本庁総長
田中 恆清

 本日ここに、ご参集の皆様方の賛同を得まして、天皇陛下御即位三十年の奉祝委員会が発足いたしました。

 常に国家・国民の安寧を祈り続けてこられた天皇・皇后両陛下の、この三十年のご活動に対し、国民がこぞって感謝の誠を捧げることができるよう、今後中央では、先ほどご承認戴きました奉祝行事について、誠心誠意取り組んで参る所存です。

 また、来春には今上陛下は御位をお譲りになられ、皇太子殿下が第126代天皇として御即位あそばされます。秋には皇位継承の儀式が古式ゆかしく厳粛に執り行われます。それに伴いまして、本奉祝委員会も「天皇陛下御即位奉祝委員会」として、引き続き新天皇の御即位を寿ぐべく奉祝活動を展開して参ります。

 各省庁では、御即位三十年、そして新しい天皇様の御即位を奉祝する記念事業について計画を進めており、また民間においても、天皇陛下御即位三十年の奉祝行事についてすでに計画・実施されている地域もあろうかと存じます。今後、全国47都道府県のすべてにおいて奉祝委員会が設立され、国や地方自治体、そして民間の各種団体が互いに連携を図り、国民が挙ってこのご慶事をお祝いする機運を醸成して参りたく存じます。

 本日発表いたしました奉祝事業が、全国各地においても所期の目的の通りつつがなく執り行われ、天皇陛下の大御心に添うことができますよう、本日ご参会の皆様方にはご尽力を戴きますことをあらためてお願い申し上げまして、閉会のご挨拶とさせて戴きます。